上映終了後、あちこちの観客からこんな声が聞こえてきた。
「こんな母親いると思う?」
まァ否定は出来ない。自分も幸運にも十分に愛情を注いでくれる親に育てられたし、フィクションだとしたら嘘くさく感じたかもしれない。
しかしこれ、モデルになった事件は確かに存在し、しかも当時テレビや週刊誌で結構話題になっていた。確かに信じられないがこんなクズのような母親は実在したのだ。
しかもそれを長澤まさみが違和感なく体現しているところが驚きであり、彼女のキャリアで一つの節目になる作品になったのでは。
息子を演じた二人、幼い頃の方は完全に訓練されたプロの子役の演技で、10代半ばに成長した方はこれがデビュー作らしいがお芝居が初々しく共感持てた。
日本映画にありがちな曖昧に答えを示さない作風は是枝裕和映画を中心に苦手なんだが、そもそもこのテーマは誰も答えは分からないだろう。
だからこそ"MOTHER"とゆうシンプルで逆説的なタイトルが響く。
どんなに虐待しても育児放棄しても、決して関係が切れることがなかった母と息子。
それをありのまま描くことがこの監督にとっての答えの出し方だったかもしれない。