東田さんの書籍がきっかけとなって製作された自閉症の人々とその家族のドキュメンタリー。
自閉症は自分の意思を他人に伝えるのが困難であるが、必ずしも知能が劣っていたり心を持っていないということではない。
周囲の状況よりも魅力的なものに心奪われやすい、表現する際に言葉を引き出しから取り出すのに時間がかかる、ひとつの行動に集中することが難しい等の弊害により、周囲の誤解を生みやすい。
しかし、そこにいるのは失敗に傷つきやすい一人の人間である。...といったことを、本人の思考過程を想起させる映像を加えて表現する。
混沌が多い現代社会は彼らにとってストレスが多いため、冷淡に扱ったり責めるのではなく個性を尊重してあげて欲しい、というメッセージは強く伝わった。
新たな表現手段を模索し発見していく姿に、未来への希望を感じさせる内容にもなっている。
「彼らは表現が不自由なだけで、実は優しい心を持っている」という考え方には様々な意見があるだろうが、自閉症の子どもをもつ多くの親御さんに、勇気を与えたことは大きな成果だろう。
優しい気持ちになり、よりよい社会を目指す気持ちになれる映画なので、願わくは多くの人たちに観てもらいたい。