自閉症の子と家族を追ったドキュメンタリー。原作者の東田直樹は13歳のときに自らの内面を文章にしたためて発表、世間の自閉症のイメージを覆し、世界中の自閉症の子を持つ親たちに希望を与えた。
言葉でのコミュニケーションができない=感情をもたないと認定されるバーバルコミュニケーション第一主義のこの社会。
実際はその内面に深い世界観をもち、豊かな視点で世界を観ている自閉症の人たち。
断片的なものさしで人の価値を測ってしまうことの寂しさ。
インドのある女性は外出先から帰ると真っ先に紙と鉛筆をもって絵を描く。
絵の中には食べたもの、会った人、いろんなものが描かれる。
それは彼女が今日見聞きした出来事を
言葉にして表現する代わりに、絵という表現の媒体を使ってとめどなく語る様を観てるようだった。
アメリカではキーボードやアルファベットの文字盤を使うことで自分の言葉を紡ぐ男性がいた。
「僕たちが求めるのはただ安らぎの世界だ」
文字盤を指すたびに奇声を発するような彼が、こんな言葉を吐くだなんて正直想像つかない。
いかに目に見える部分だけ、表に出ている部分だけでその人の“らしさ”を価値付けることがあやういか。
高精細の映像と音で自閉症の人の世界の感じ方を表現してたのがよかった。