このレビューはネタバレを含みます
ラストナイトインソーホーと並ぶ今年見たスリラー映画トップ。。
信じられないくらい面白かった。
ヒッチコックは「映画とは白昼夢のようなもの」と言ってたけどこの映画はまさに夢か現かわからなくなるほど寓話的。実際作中にもそれを示唆するセリフが多く散りばめられている。そういう寓話的なところもラストナイトインソーホーと共通するところ。
シーンの変わり目で周囲から円が小さくなるのも寓話風で、それが不思議と陳腐だと思わせない。
特に最高だったのは、権力者にインチキがばれて(そもそも霊媒師というのを信じて金を積めばなんでも不可能を可能にできると思っている権力者の思想も相当やばいのだが)
切羽詰まって逃げるシーン。
そこまでの緊張感もしっかりスリラー演出してくれるし、なによりすべての沸点に達してしまった瞬間の主人公の心理がものすごく伝導してくる。車に乗ってすぐに車を走らせて逃げるのではなくて、猛スピードでバックする、すなわち番人を轢き殺すという純粋なる悪の意志にしびれた。そしてバックして轢いた後また思い切り轢いて逃走するという外道っぷりね。。
(この主人公はジョジョのDIOを彷彿とさせる。あの弱りきった父親との場面、完全に一巻のDIOなんだよな。。)
そして信頼していた心理学者の女にも裏切られ、なにもかもを失う。
あのステージで儲けていたのがまるで夢だったかのように、転落していく。
この映画のテーマは罪、であるけど彼自身も罪を背負って、最後には獣人になることを自ら望んでしまうんだね。あんなに軽蔑していたのに。贖罪ということなんだろうね。。
そういえばこの映画、映画館での広告がめちゃちゃちくてクソ映画に見えてたからあの広告はよくないわ。
Is he man or a beast?
は、たしかにこの映画を端的にジャストミートで言ってんだけど、背景知らないとめちゃちゃちぃコピーに聞こえるのよな。
映画見た後だと一周回って深いのはわかるんだけど。興行師のイントネーションが余計に安っぽいのよな。。
あとハッキリわかんのは男は自分が貧乏な時に自分を愛してくれた人と一緒になるべきだってことな。