このレビューはネタバレを含みます
奇才ギレルモ・デル・トロが挑む、初の超自然的要素無しのサイコスリラー作品。
界隈では「ノワール的」と表現される、重苦しく不穏で、息の詰まるような空気感が終始漂う映画であるが、それでいて150分という長尺を一切感じさせないスピード感にも満ちた不思議な作品。
ラストシーン、宿命を受け入れた主人公スタンが笑うシーンは鳥肌もの。正直、丁寧に開示された伏線によって結末は割と読めるのだが、にも関わらず如何にしてスタンが悪夢小路(ナイトメア・アリー)にはまり込んでいくのか目が離せなくなってしまう。
脇を固める女優陣三者の表現も凄まじく、もう戻れない深みにどんどんと主人公を、観客を引き込んでゆく。
具体的に何がどう優れていたのかを表現することが全くできないのだが、とにもかくにも傑作を観た。そんな気分。