このレビューはネタバレを含みます
第二次世界大戦下のアメリカ、霊媒師を名乗る詐欺師の半生を描く話。
ブラッドリークーパーの演技が光ります。
当初はディカプリオを予定していたらしいですが、個人的にはクーパーでよかった気がします。
というのも、
ラスト獣人になることを打診された際の演技が凄まじいからです。
「自分こそそうなるべき宿命です」とあの悲哀とも笑みとも取れるなんともいえない表情から飛び出すセリフに釘付けになりました。
さて、本作は明らかに両親へのコンプレックスを抱えている主人公を題材にしてますよね。
幼い頃失った母親の影を求めているため、
登場する女性陣もだいぶ年上です。
また、酒乱な父親に対しての憎悪と愛されたかったという哀しみも如実に現れてます。
詐欺師への道に進むきっかけとなったピートやラスト登場する富豪。
どちらも父親へのコンプレックスから
"彼に自分を認めて欲しい"という強い意志が感じられます。
それを証拠に、
富豪を取り入れたとき"絶対に"飲まなかった酒に手を出します。
これはまさしく自分の中で、
"父親代わりの老人男性"に認められたことへの優越感と安堵感を表していますよね。
その点、対象的に登場するのが
サーカスの"若い女性"です。
どのコンプレックスにも当てはまらない登場人物なので、彼女には基本的に冷たいですよね。
愛し方さえ教わってこなかったためわからないのでしょう。
ラストは概ね読めましたが、そのように終わるのが気持ちいいと思えるくらい綺麗にまとまるので結果良かったです。
ケイトブランシェットの役も魅力的でした。
本作はプレステージが好きな方は好きかと思います。