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マーベルズのLudovicoMedのレビュー・感想・評価

マーベルズ(2023年製作の映画)
1.5
《ドタバタコメディとして堅実な造りではあるが、、、》

『ガーディアンズオブギャラクシー3』が久々に傑作だったMCUだがフェーズ5は映画世界の拡張に力を入れてる印象がある。スペースオペラとはまた別の角度から地球人による本格宇宙進出を目的とした本作a.k.a 『Intergalactic』だ。その分野として厄介になってくる配信ドラマを合流させる拡張も必要となってくる訳で。フェーズ4以後、常々はびこる問題として配信ドラマとの距離感があったが、ついに新体制のMCU映画が来てしまいました。これが鑑賞者の条件次第で食指が大きく左右する、制作側はある意味博打的な企画だったと思える。まず、私は配信ドラマを1秒も見てなくリサーチも一切していない、という観客が多数派なのか少数派なのかアンケートしたい感じだが、案の定作品がとっ散らかってるのか、俺の脳みそがとっ散らかってるのかノイズが終始だった。
誰?とかどこ?という疑問はストーリー上支障がないものの何ができて何ができないのかの最低限の説明は入れといても良かったんじゃ、と思える。能力特性だけ紹介されても、なので主に後半戦は、太陽をなんたらして死滅寸前惑星をアッサリ救う理屈やマクガフィンとされる二つの腕輪の役割がわからなかったので、時空の裂け目を向こう側から塞げるという強行手段も結果を見て理解する羽目となった。。要するに補助線なしで本作を観ると脅威の解決策が淡白に見えてしまい、中々ノリずらかった。

とはいえひとたび設定の繋がりを諦めて、マクガフィン同士の闘いと割り切れば非常にご機嫌な一作であり、MCU上でもコメディに振り子を徹底したなんでもアリ感を楽しめる。もちろんこれまでも『ソー』『ガーディアンズオブギャラクシー』 とユーモアを交えながら進行するものはあれど、お話そのものをドタバタコメディとして飲み込みやすい本作は、かつての『フィフスエレメント』『ゴーストバスターズ』なんかを思い出す。

接点の無い3人がいきなりテレポーテーションで入れ替わる奇想天外なアクションでは、「またかよ」とタジタジになりながら闘う。まさにコント的見せ場として楽しめる現象だ。このなんでもアリ感を最初からリアリティラインに宣言してる分、荒唐無稽な作劇に身を任せやすい。なんなら入れ替わるアクションはもうちょい様々なシチュエーションで観たかったぐらいで。
そのまま、『スタートレック』エピゴーネン展開に雪崩れ込んでいき、ぎこちないチームワークと共に活躍を見せる。ただ歌わないと喋れない種族のくだりはタイカワイティティ型テンポの悪さと空気の悪さがあった。

そして、MCU史上最強と謳われるキャプテンマーベルに対するヴィランどうすんだ問題。まあこれが記号的なお粗末さで、結局なんで死んだかも分かりにくかった。あんまり悪役が立ちすぎるとコメディの空気が作りづらくなる理由もわかるけど、もうちょっとなんとかならんかったか。

という訳で、コメディという理由一発だけじゃ擁護できないほど粗が相当目立つ作品でした。
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