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無頼のfkyのレビュー・感想・評価

無頼(2020年製作の映画)
3.9
待望の井筒監督作新作で、しかもヤクザ映画。劇場で監督作を観た事がないのも相待って期待大で劇場鑑賞。パンフレットが2200円という若干ぼったくられ体験が出来たのもなんだか楽しかった。ジャックアンドペティと伊勢佐木町にもピッタリ。

ただ、そこに人がいるだけの話で、あえて安い盛り上がりも無い。オムニバス映画のような淡々としたトーンを、各所のフェードアウトで作る。不思議な味わいの映画。家で見てると集中が持たないタイプの作りだから、これは劇場で見て正解だと思う。

展開という展開がないので、あそこがどうのとか、そういうケチの付け所も逆にない。アウトローが表の人たちにエンタメをするシーンが大好きなので、ライオントラ対決の興行のシーンが最高。男が命かけて出来る職業は、ヤクザしかないですからね、のキラーフレーズも良かった。基本的に派手なシーンが起きたあとに説明、という流れが多いのにも、途中から慣れてくる。そして主人公がかちこんだシーンは実は一つもないのでは??(追記、かなり序盤にあった。しかも1人で。)そう思うとまた、不思議な映画だなと思う。

(追記)
冒頭、塚本晋也の映画か?ってくらいそっけない白黒調のデジタル映像で始まるのは、なかなかインパクトがある。
意外と留置所で食べる弁当が美味そうに見えるのは、その前の飢えた描写のフリからだろう。モーテルで柳さんが食べてる巻き寿司も美味しそう。いいチョイス。
好きでなったわけじゃないのに、ヤクザに生きるなって言うのかよ。本当にね。
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