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毒娘のfkyのレビュー・感想・評価

毒娘(2024年製作の映画)
3.2
内藤瑛亮監督の露悪的かつ繊細な演出が好きだったが、劇場で見るのは今作が初。ミニシアター展開ではなく、上映数は少ないながらもシネコン中心でやっているのが意外。新宿で、ティーンにも刺さる内容だったのも災いし、予告でずっと喋り続ける女の子達と遭遇。

「ミスミソウ」を期待したら中島哲也監督の「来る」の前半だけを薄めたかつ、全体は井口昇監督の「悪の華」みたいな作品が来た感じ。あくまでティーンネイジャー目線から社会問題に斬り込むのも押見修造的に感じる。

妊婦への暴力、子どもによる妊娠への拒絶、馬乗りになって顔に向かって噴射、顔周りの人体欠損など、めくるめくいつもの内藤瑛亮モチーフ。予告やポスターアートの圧倒的なビジュアル。襲いかかる蜂、鋏を駆使したフレッシュなホラー演出。特に「高速ばあば」の時のB級アイドルホラーを撮った内藤監督を強く思わせた。

どれもこれも見たかったものは揃ってるのだが、肝心の演出と編集がそこに追いついてこない。あまりにも全てがフリに終始しているため、一つ一つのチャプターがぶつ切りの連続で、一向に映画がノッてこない。シーン一つとっても、セリフ間が長い間延びした演出が徐々に耐えられなくなってくる。こちらは先週「オッペンハイマー」を見ていることも辛さに拍車をかける。スリラーシーンに対してもやたらリアクションが薄いのもホラー的要素を削いでいる。

脚本は演出が面白ければ多少の粗は目を瞑れるが、家庭内サスペンスという要素を含みながら、「家庭内に潜むちーちゃんの存在に気づかない」は最も気になった。警察が無能とかは良くあることなのでまあ良いと思った。

そういえば今回は内藤監督作魅力のちょっとしたコメディ感が無かったのも魅力が半減した理由に思われる。
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