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さよなら、私のロンリーのギャスのレビュー・感想・評価

さよなら、私のロンリー(2020年製作の映画)
3.5
面白くて、切なくて、愛しくて、
そんなオフビートコメディ?

オールドドリオという変わった名前の女性と詐欺師の両親との暮らしは、たしかに少しとぼけた風なノリなのだが、
振り返ってみればとても悲しい物語だった。
しかしそれを超える晴れやかな味わいがあった。破壊と再生、社会へのコミット、そしてその原動力になる愛。

ネタバレ
飛行機に乗ること自体がすでに「一度死んで生まれ変わる」という儀式的な体験の始まりだったのだろう。
その後も暗闇で一度死んで、外の世界へ産まれ直す。何度か繰り返される成長のやり直しの儀式。オールドの、初めて人からの愛に触れるぎこちなさに、彼女への愛しさが込み上げた。

両親はおそらく2人ともが共依存の発達障害と思える。思い込みとこだわりが激しく生活能力がなく、子どもを正しく愛せない。そんな彼らへの支援の必要性が誰かに発見されることは難しい。

外から差し伸べられた愛がとても適切(いや、あまりに映画として都合良すぎるほどに)でホッとできた。しかし、これから安泰とも思えない。
でもしばらくは、このラストシーンのキスにオールドがしばらくは守られていますように。
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