もっちゃん

ファーザーのもっちゃんのネタバレレビュー・内容・結末

ファーザー(2020年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

うちには父親はいない。
いや、存命はしているが、いつもリビングにいるのは父親のカタチをしている人間だ。



うちの父親は20年ほど前にクモ膜下出血で倒れた🩸
夜中、「お父さんがおかしい‼️」とえらい剣幕の母親に叩き起こされ、階下の寝室に駆け込むと、言葉にすると荒れたとか乱れたになるのだろうが、とにかく聞いたこともない常軌を逸したリズムで呼吸しながら暴れる父親の姿があった。

エクソシストでお馴染みの悪魔が憑依したのか?👿
いやこれ何柱で何の呼吸やねん🔥
もちろんそんなことを考える余裕なんてないが、自分の父親の身に降り注いでいる、目の前で起こっている出来事が、どこか映画の中の世界のように思えて非現実的だった。


手術で一命を取り留めたが、右半身と言語に障害が残り、幼児退行がみられるようになった👶

人は動物としての欲求を満たすだけの状態から、家族や学校といったコミュニティの中で他者への思いやりや配慮といった社会生活のためのスキルを学んでいく。
その過程をRPG🎮のレベルに例えるなら、幼児退行は言わばレベル0。自分のことしか考えないクソわがままでムカつく状態だ💢


クソわがままでムカつくと書いたが、実際、自分自身は父親に対してあまりそういう感情は抱かない。
幼稚な言動、例えば食卓に家族が揃う前にご飯を食べ出したり、他愛のないことですぐ怒ったり、客人がいるのに平気でおならをしたり。
自分はそういう言動を見聞きしても、あまり感情的にならない。
病気だからしょうがないじゃんと思っているからだ🤷

ただ裏を返せば父親に父親としての役割を何も期待していない、そういうことなんだろう。


しかし母親は違う。
かつての父親とは思えない振る舞いに対して小言ばっかり言っている。
ああしてほしい、こうはできないのか。
それに対して上手く言葉が出ない父親が感情的になってケンカになることもしばしばだ。

病人とケンカしてどーする😇
かつての夫と同じパフォーマンスを要求しても無理なもんは無理なのに。
面倒を見る立場からしたら、面倒見るだけでほぼほぼ見返りがないからしんどい仕事なのは理解できるのだが、病人と割り切らないとしんどいだけではないか。


ここから映画のハナシ🎞
本作は認知症の父親を介護する娘、という設定だ。

病状は違うが、父親と母親の姿が本作と重なり、また、母親の父親に対する認識を改めさせ楽になるような体験になるかもと考え、母親と一緒に鑑賞することにした。

そして認知症患者の視点で映像が構成されているという👀
登場人物の顔と名前は一致しないし、数年前なのか昨日のことなのか時系列がてんでバラバラ。
スクリーン上で何が起こっているのか全く理解が追いつかない日常が展開される。

ただ患者本人からしたらその世界こそがリアルなのであって。
こちらとは住んでいる世界が違うんだな🤔
こちらはその認識のズレを理解しないといけない。


映画の中で娘さんは最終的に父親を老人ホームに預け距離をとっていた。
認知症の映画は、どこか救いがあるような描き方をするイメージがあるが、本作はなかなかにリアルだった。

Father。父親。家族。。。

何が正解で何が幸せなのか。
答えは自分で見つけろ、そういうことなのか😇



観賞後のおかん「認知症って聞いてたけどおじいちゃん全然しっかりしてたね😇」

映像が訳わからなさすぎて、アンソニーが相当ボケてることについていけないちょいボケなおかんであった😇
もっちゃん

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