認知症の当事者はこんな世界で生きているんだろうか。人、場所、時間が正確に認識できず、自分も周りも信じきれなくなっていく。本当に恐ろしい。
とにかくアンソニーの演技が素晴らしすぎて、怖いくらいだった。
老人の、少し違和感のある発言や感情の起伏を知っている人なら、こんなに体現できるものなのかと驚くと思う。すごくリアルだ。
人生をどんなに豊かに生きてきた人間でも、最後の最後まで分からないものだ。ホームに入所することは不幸なことなのか、家族はどう振る舞えばいいのか…
これからたくさんの人が直面するであろう、ただの老いではなく、その人がその人でなくなっていくという事を描ききっている。
誰かを重ねて見てしまって、ラストシーンは本当にせつない。
