このレビューはネタバレを含みます
オンライン試写で拝見しました。
2019年のブロードウェイでのミュージカルの映画化です。
ジャニスのコンサートの体裁を取り、モノローグによって彼女の人生や心象風景が語られていきます。
見どころは何といってもジャニスを演じるメアリー・ブリジット・デイヴィス。本人そっくりの声質で、あの急き立てられてるような、口から言葉があふれ出てくるような歌い方をみごとに再現しています。
「心のカケラ」「クライ・ベイビー」「ミー・アンド・ボビー・マギー」「ボール・アンド・チェイン」などの圧倒的なパフォーマンスでは、何度もスタンディング・オベーションを受けています。
またジャニスに影響を与えた先達達、アレサ・フランクリン、ベッシー・スミス、エタ・ジェイムズ、ニーナ・シモンなどの女性歌手たちが登場して、ジャニスとは異なったスタイルを披露するところは、アメリカ黒人音楽の中の女性シンガーのエッセンスを感じられる、素晴らしい演出になっています。
前半最後の、ジャニスとアレサ(アシュリー・テイマー・デイビス)の競演も、みごとなパフォーマンス。
このミュージカルが、メアリー・ブリジット・デイヴィスによるジャニスへのトリビュートとみることも可能でしょう。
もしジャニスがあと少し長生きして、エンターテイナーとして成熟できていたら、きっとこんなステージを披露していたんだろうな、と思わせてくれる、そんな作品でした。
最後に、映画館で観る場合は、ぜひ音響のよいシアターでご覧になることをお勧めします。