このレビューはネタバレを含みます
これは山田洋次の遺書であろう。
現代パートの物足りなさ、過去パートのチグハグさ、キイになる作品『キネマの神様』の貧弱さなど、ツッコミどころは多々ある。それらをカバーして余るのが原節子に模した女優桂園子役の北川景子の美しさである。今年度の助演女優賞当確だ。
正直にいうと、私は彼女に導かれて映画の世界に帰っていくラストシーンに涙した。残念だったのはスタッフの目線が定まっていなかったこと。これでOKを出した山田監督の演出力が衰えたとは思いたいない、コロナ禍ゆえの妥協だと思いたい。
なお、私はゴウの生き方を是としない。ギャンブルも酒もやるがそこには逃げない。健康を優先して粘り強くいじこく生きていく。