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ドクター・デスの遺産-BLACK FILE-のsomaddesignのレビュー・感想・評価

2.5
ツッコミつつ見るが吉。
2時間ドラマを映画館で見たと思えば。

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終末期の患者ばかりが次々と不審な死を遂げる事件が相次ぎ、捜査に乗り出した刑事の犬養と高千穂。依頼を受けて患者を安楽死させる「ドクター・デス」と呼ばれる医者の存在にたどり着く。

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原作未読。人気の推理小説シリーズ4作目の映画化。
二度のTVドラマ化があったことすら知らなかったので、「ご存知の二人が今度はスクリーン狭しと大活躍!!!!」みたいなダサいオープニングにキョトンとしちゃった。


普段は昼行灯で粗野なボンクラ刑事が、ここぞという時に鋭い洞察力や行動力で解決するパターンかと思いきや、結局最後まで警察官として活躍しなくて驚いた。ていうか、ほとんど事件解決に貢献してない。名推理があるわけでもなく、猪突猛進な情熱で事件に振り回されるウチに、犯人自ら足跡を辿らせて正体が明かされちゃう。

そもそも、全国指名手配レベルの事件を、あの人数で担当しちゃダメだろう。石黒賢を長に総勢6人って……。画像解析や現場の制服警官の描写はあれど、大規模捜査してる様子が薄いので、現場出動から情報収集までたった6人で賄って見える。捜査本部があの6人だとしても少なすぎるし、新人ぽい人ばかりで不安になる。 大丈夫なのか、日本の警察は?😥

それでいて、知っているはずのない場所に辿り着けた件について、フワッとした理由で片付けられちゃう(GPSとか交通管制センターのカメラとか使えばいいのに😤)。大まかに行き先に見当ついた後での追跡ならまだしも、有能さより情感で物事が解決されちゃうので、ミステリーにもサスペンスにもならない。


ドクター・デスにしたって、犯罪とはいえ患者や家族の苦しみを解消してあげたいって部分では一理あるような気がしてたのに。結局私怨に自分の能力を使い出して、神様気分になっちゃうもんだから「おい、お前もうコンセプトが変わっちゃってるじゃんか!」て気分。
もっとこう…尊厳死を肯定するにも否定するにも理屈があって欲しかった。ただの連続殺人犯の話に堕してしまって、観客の善悪観を揺さぶるような物語を期待してたのに。

実際に起きた事件をモチーフに、尊厳死や安楽死の是非を問う医療ドラマの側面もあるのに、パーソナルな問題の解決に着地しちゃって勿体ない。明快な回答を出せないまでも、映画内で提示した問題くらい映画内で答えを出してよ。『(安楽死の是非は)時と場合による』ってレベルのオチで、そらそうでしょうよと。

粗ばかり目立つ映画だったけど、柄本明の怪演と木村佳乃の悪魔的な美しさは良かった。綾野剛の端正な顔立ちを生かさない、終始クシャクシャっとした顔芸と、北川景子の凛とした佇まいの割に活躍が少ない感じも面白かった。

67本目
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