富樫鉄火

チィファの手紙の富樫鉄火のレビュー・感想・評価

チィファの手紙(2018年製作の映画)
4.0
20200912/gdcs
あまり「比べる」ことをしても意味ないのだが、わたしは『ラストレター』より、ずっとよかった。
なぜかというと、岩井作品は、どれも、中身は、ほぼ「ファンタジー」「おとぎ話」なので、たとえば『ラストレター』のように、我々にも感度がある具体的な土地(仙台とその近辺)で展開すると、リアル色が強くなって、「おはなし」を楽しむ余裕がなくなるような気がしていた。
その点、今回は、中国が舞台なので、少なくとも普通の観客にはなじみがないし、それでいて、同じアジアなので、遠すぎる感触もない。
ちょうどよく、「どこかの国」の「おとぎ話」を楽しんだような気分だった。
しかも、やはり中国は役者の層も広くて、大人役も子供役も、抜群にピッタリだった。特に少女たちの透明感は、特筆に値すると思った。
同時に、せっかく中国を舞台にしたのだから、30年間の時の流れを、少しでいいから、、政治や社会の変化でも見せてほしかった(あまりくどくやると、逆に普遍性がなくなるが)。
とにかく、先に製作された本作が、ようやく日本で公開されて、ほんとうによかったと思う。
富樫鉄火

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