IkTongRyo

泣きたい私は猫をかぶるのIkTongRyoのレビュー・感想・評価

泣きたい私は猫をかぶる(2020年製作の映画)
3.4
猫・猫・猫。ねこだらけの映画。

ここまで猫を全面に押し出したアニメはジブリの『猫の恩返し』くらいではないか。

思春期の男女が持つ将来への不安、関係性への不安など、家族や友人に吐露できないことを「猫」相手だとしゃべってしまう。猫をモチーフに人間関係の複雑さを描く、綺麗でかわいく、おもしろい作品です。

主演二人である志田未来と花江夏樹の演技力は高いが、猫店主役の山寺宏一がずば抜けている。最初から最後まで不気味な雰囲気を醸し出し、主人公たちが青春を満喫している世界で恐怖を滲ませる。

世界から逃げだしたい人たちはみんな猫になってしまう。けれども人間時代の情は忘れておらず、ムゲと賢人を猫店主から救う。

今作のスターは間違いなくヨリちゃんだろう。ムゲというトンデモキャラにあそこまで付き合えるのはスゴイと思う。きまぐれな猫でありながら、泥臭さもあって面白い。

「猫をかぶる」という言葉をうまく扱ったタイトルもよきですね。
IkTongRyo

IkTongRyo