スティーヴン豆腐

コレクティブ 国家の嘘のスティーヴン豆腐のレビュー・感想・評価

コレクティブ 国家の嘘(2019年製作の映画)
3.8
2015年にルーマニア・ブカレストのクラブ「コレクティブ」で起こった火災に端を発する、前代未聞の巨大医療汚職事件の闇に斬り込んだドキュメンタリー映画。

国家を揺るがす一大スキャンダルへと発展し立場を追われた前任者の後釜として、保険省大臣に就任したのが当時若干33歳のヴラド・ヴォイクレスク氏。この人がまあ正義感が服を着て歩いてるような実直な人物で、政府側の代表である大臣自らが密着取材を許可し、内部事情を晒していることが本作の価値を高めている。
このヴラド氏、苦しい状況下でも自身を揶揄・批判する報道番組を見て笑ってる余裕があったので、気弱そうな見た目とは裏腹に相当強靭な精神の持ち主だろう。

腐りきった医療体制を根本から正すべく奮闘するヴラド氏の姿に一筋の光明を見出すも、後の選挙では前与党が勝利。腐敗した旧体制側が再び権力を握るという最悪の結末に、鬱々とした気持ちで映画館を後にした。