高橋孝治

コレクティブ 国家の嘘の高橋孝治のレビュー・感想・評価

コレクティブ 国家の嘘(2019年製作の映画)
5.0
《権力の腐敗は世界の共通言語?》
 国家権力の腐敗を暴くことを使命とする新聞記者と、腐敗した政治を正そうと奮闘する若き保険相(日本の厚労大臣)を追ったドキュメンタリー映画である。映画としての凄いのは、日本では考えられない場所で撮影していることだ。勇気と勝ち得た信頼感があるからこそだろう。そしてさらに凄いのはインタビューを一切使わず、撮影された事実だけで構成されていることだ。ドキュメンタリー作品を作る人たちが面食らったことだろう。
 2015年に起きた事件で発覚した不正をめぐるやり取りには既視感を感じる。嘘、隠蔽、論点ずらし、責任逃れ… 日本で見られるものより「少しだけマシ」な光景が映し出される。「マシ」なのは『さら問い』が行われていることである。
 そしてルーマニア総選挙では既得権益にまみれた政党が勝利し、何も変わらないのではという絶望感が映し出される。その選挙においての投票率が40%に届かなかったこと、20代では僅かに5%しかないことが絶望感を象徴していた。
 2021年の日本、まずは投票しよう!このタイミングでこの映画が教えてくれたことではないだろうか。
高橋孝治

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