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コレクティブ 国家の嘘のkouのレビュー・感想・評価

コレクティブ 国家の嘘(2019年製作の映画)
4.5
想像の遥か上をいく腐敗の数々、初めはライブハウスの火事から始まり、基準を満たさない消毒液が使用され、院内感染がゆえに死亡者がでる。その裏にある公的医療の腐敗、政治と金、汚職が蔓延、それらが次から次へと暴露されていく。今作はそれを暴いていく新聞記者と、崩壊している社会を少しでも正そうとする新保健省大臣が描かれる。

今作を見て全くもって他人事だとは思えず、特に終盤の総選挙と、その結果を受けた衝撃は身に覚えがある。どれほど酷くとも、むしろどこまでいけば変わることができるのかと絶望的な気持ちになる。投票率の低さ、無関心。ラストの絶望感、何の希望もなく、打ち砕かれたその先に何があるのだろうか。

ただ一つ、今作が作られ、そして世界に向けて公開され、そして評価を得ているという事。新聞記者達のジャーナリズムこそ、今作の持つ僅かな光であると思う。このような作品が日本でも作られ、公開できるのだろうか。我々は常に社会に対し、関心を持ち、それを発することができるだろうか。
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