どらどら

コレクティブ 国家の嘘のどらどらのレビュー・感想・評価

コレクティブ 国家の嘘(2019年製作の映画)
4.8
- 皆が黙っていたことが国家の嘘を許したんです

ひとつの事故から炙り出されたのは
一企業の不正でも
単なる医療体制の腐敗でもなく
嘘まみれの国家の正体だった

掘れば掘るほど深まる闇は
ジャーナリストも、さらには保健相ですらも太刀打ちできるものではない
それほどに、根から腐っている

せっかくの改革への波は
守旧派の執拗な攻撃と
あまりに低い若年層の投票率に
あっという間にかき消される

翻って、これは遠い国の話だろうか
今、まさしく、のっぴきならない事態がこの国でも進行しているのではないか

沈黙はもはや金ではない
ペンをとれ、立ち上がれ、嘘を許すな
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呆然とした
鋭い質問が飛び交う記者会見と
執務の裏の葛藤までも撮らせてくれる大臣の姿に
そして、それに驚く自分の情けなさに

日本の医療体制はこの映画で暴かれるルーマニアのそれよりは遥かにマシだ(一応内部の人間として、それは確信を持っていえる)
それでも、日本の記者会見の酷さたるや、これと比較して言葉を失う
そして、これだけ全てを曝け出して透明でいられる政治家が果たして日本にいるだろうか
もし、これと同じようなことが起こっても、日本では誰も気づくことなどできないのではないだろうか
ゾッとした

今を生きる世界中どこでも普遍性のある国家の腐敗の物語は、ドキュメンタリーの枠を超えて、今私たちが何をしなければいけないのかを突きつけてくる
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