地球外生命体

コレクティブ 国家の嘘の地球外生命体のレビュー・感想・評価

コレクティブ 国家の嘘(2019年製作の映画)
4.0
2015年、ルーマニアの首都ブカレストにあるクラブで火災が起きたが、一部の死者は同国の腐敗した医療体制に殺されたも同然だった。「トトとふたりの姉」のA・ナナウ監督は汚職に気付いたジャーナリストたち、そして同国保健省の新大臣に密着取材。前半はジャーナリスト陣の奮闘を描くが、やがて明らかになっていく事実に観客は強いショックを受ける。監督があえてインタビュー場面もナレーションも使わなかったことが説得力を倍増。第93回アカデミー賞で国際長編映画賞と長編ドキュメンタリー賞にノミネート。

ブカレストにあるクラブ“コレクティブ”でライブ公演中、火災が発生。20人以上が死に、100人以上が負傷したが、さらに入院した負傷者の30人近くが亡くなる。スポーツ新聞“ガゼタ・スポルトゥリロル”のトロンタン編集長と記者たちが調査・取材を進めると、一部の製薬会社・病院経営者・政府関係者による癒着が事態を悪化させたと判明。保健相の辞任後、実業界から抜擢された後任のヴォイクレスクは状況改善に挑むが……。

非英語映画でありながら、タイム誌が選ぶ2020年ベスト映画の第2位に選出されたほか、ローリングストーン誌では第1位に選出され「惨劇、隠蔽、暴露。今年最高のドキュメンタリーだ」と最高の賛辞を得た。ヴァニティ・フェア誌では第3位、インディ・ワイアーでは第3位となり「ジャーナリズムについて描く映画史上、最も偉大な作品だ」と評されたほか、「これほど現代社会を象徴する映画はない」(ワシントン・ポスト紙)とも評されている。

『撮影したフッテージは危険だと思ったので、いくつものハードドライブにコピーをして、ものによっては隠したり、時には素材を飛行機でルーマニア国外に運んだりして、プロジェクトを守るような態勢で臨みました。そうはいっても、ルーマニアはEU加盟国なので振るわれる暴力にも限度はあるだろうと思っていましたし、そこまで怖いと感じることはなかったです。しかし、諜報部に情報源があり、当時、自分の電話が盗聴されていることや常に監視されていることは聞かされていました。』とナナウ監督はインタビューで語っている。

【ヴラド・ヴォイクレスク/VLAD VOICULESCU】
金融スペシャリスト、慈善家、
保健相(2016年5月〜12月)
ウィーンにあるエルステ銀行の投資部門の副社長として長年勤務していた。27歳で「サイトスタティック・ネットワーク(cytostatic network)」を設立し、薬を入手できない患者のために、オーストリア、ドイツ、ハンガリーからルーマニアにがん治療薬を密輸する数十人のグループを結成。患者の権利を守る活動をしていた彼は、前任者が辞任に追い込まれた後、新たに保健相に就任した。彼は大臣のオフィスをアレクサンダー・ナナウ監督に開放し、保健省への前例のない常時アクセスを可能にする。

★2019年チューリヒ映画祭
ドキュメンタリー賞
★2019年ラ・ロッシュ=シュル=ヨン国際映画祭
審査員特別賞
★2019年モンペリエ地中海映画祭
ドキュメンタリー賞
★2020年トロムソ国際映画祭
Don Quixote Award
★2020年ルクセンブルク・シティ映画祭
ドキュメンタリー賞
★2020年モントクレア映画祭
審査員特別賞
★2020年ハンプトン国際映画祭
ドキュメンタリー賞
★2020年レザルク・ヨーロッパ映画祭
撮影賞
★2020年ソフィア国際映画祭
【International Documentary Competition】
審査員特別賞
★2020年ボストン映画批評家協会
ドキュメンタリー賞
★2021年ヨーロッパ映画賞
観客賞
ドキュメンタリー賞
★2021年全米映画批評家協会賞
外国語映画賞
★2021年セントルイス映画批評家協会
ドキュメンタリー賞
★2021年サンフランシスコベイエリア映画批評家協会
ドキュメンタリー賞
★2021年ニューメキシコ映画批評家協会
ドキュメンタリー賞
★2021年ロンドン映画批評家協会
ドキュメンタリー賞
★2021年トロント映画批評家協会
ドキュメンタリー賞
★2021年バンクーバー映画批評家協会
ドキュメンタリー賞
★2021年サテライト賞
ドキュメンタリー賞
★2021年ラックス賞
観客賞
★2021年ゴポ賞
作品賞
監督賞
編集賞
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