ごんす

アシスタントのごんすのレビュー・感想・評価

アシスタント(2019年製作の映画)
4.5
主人公の女性が電話を取ったりコピーをしたりオフィスの片付けをしたりするのを観ているだけで恐ろしい映画の輪郭が浮かび上がってくる。

この闇は想像以上に緻密に構成されていて気が付いた時には既にその闇に飲み込まれている。
積極的に搾取する側に回っている者や傍観者だけでなくともあまりにシステム化されているので気付かずに加害的な立場にいる者もいる。

一番恐ろしかった場面は“この人には何でも話して良いんだ”というオーラを纏った人に打ち明けるとその人物は自分の言ったことを整理し始める「きみの言ってることってこういうこと?」と確認されると「あれ?」となってしまう。
本当に恐ろしい。

「君は大丈夫だ、彼の好みじゃない」などという低俗な言葉が出てくるタイミングもゾッとした。
酷すぎるので映画館の観客の空気が変わるような感じを覚えた。

沢山の実話を基にこの映画が送り出されたことだけが唯一の希望かもしれない。
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