onisam

アシスタントのonisamのネタバレレビュー・内容・結末

アシスタント(2019年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

雑用の質感がめちゃくちゃリアル。コピー機待つとか備品補充とかホチキス留めとか。
映画業界に憧れ、業界のドンのアシスタントになったら雑用ばかり。しかも朝イチから深夜までオフィスにいなければいけない。少しでもミスすればボスから電話がかかってきて、謝罪メールを出さなければならないし、ボスの奥さんの愚痴相手まで仕事の範疇。やりがいはないし、同僚も意地悪、長時間労働当たり前。そんなジェーンは働いて2ヶ月も経たない新人だが、ボスのやっている「あること」に薄々気づいていて……という話。
言わずと知れたワインスタインの悪行がどのように実現したのかがよく理解できる。会社、業界全体が彼のやることを隠蔽するようにできてしまっている。象徴的なのはジェーンは人事の男性にボスのやっていることを仄めかすシーンで、男性の態度、最初はとぼけていて、途中から脅しになり、最後はレイプを認める流れが本当に醜悪だった。
この1日ではジェーンの後に入ってきた新人アシスタントが標的になるのだが、彼女が表向きは「大丈夫」そう、むしろ性行為をうまくつかっているように見えるようにあえて表現しているのだと思う。人事に訴えてもはぐらかされ、同僚も会社トップも公認の性暴力を、ラストでジェーンが許容してしまう。彼女が大丈夫そうに見えたのは、異常な業界を正当化しようとするジェーンの、人々の無意識な働きかけゆえなのだ。のちに、ボス、ワインスタインがやってきたことは暴かれる。そのときジェーンは何を思うのだろう。
onisam

onisam