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アシスタントのkabcatのレビュー・感想・評価

アシスタント(2019年製作の映画)
3.7
映画関係?の会社に入社して2か月の新人アシスタントの1日を静かに追う物語。表立ってあらわれないけれど、誰もが気づいているパワハラ、セクハラの現状を、誰も何も言わない(言えない)脚本がとてもよくできている(「誰かが何かをした」という断言は一切されない)。隠されたハラスメントを暴いた英雄を扱った作品も最近ではちらほら見かけるけれど、その陰にはこの映画の主人公のようにそれができない人たち(彼らの多くは善良な人々なのだ)が星の数ほどいることをわからせてくれる。個人的にはそういう映画の方が好きである。

優秀で山ほどある雑用を黙々とこなし、表情をほとんど変えることはないが人間的な優しさも持つ主人公を演じるジュリア・ガーナーがとてもよかった。映画のなかで「君は会長の好みでない」と言われていたけれど、ガツガツしてなくて控えめな感じがアメリカ女優としては珍しいタイプに見えた。同じ監督とタッグを組んだ作品がまた制作されているそうでそれも観たい。
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