たむランボー怒りの脱出

トルコ行進曲 夢の城のたむランボー怒りの脱出のレビュー・感想・評価

トルコ行進曲 夢の城(1983年製作の映画)
4.0
めちゃくちゃ地元映画。国道161号線の片側一方が田んぼでもう一方がソープランドという異様な光景が広がるのが雄琴のちんちろ村と呼ばれるエリア、らしいけど、そのちろりん村という呼び名はこの映画を見るまで知らなかった。親とかは普通にソープ街と言っている。田舎町に突如出現した煌びやかな夢幻空間という趣があって、その一帯だけ聖域化されてたから、立ち入るのは国交のない国の国境線を越えるときくらいの不安がある。(子供時代をここで過ごしたからこその禁忌的な感情だと思う。他所から来る人は特に何も思わない。) 実際ソープ街で働いてるのは他所者ばかりだと思ってるけど、女性は出稼ぎで来てるとして、男性スタッフはどういう出自なのか知らない。調べたい。このあたりのことは『ちろりん村顛末記』という本がちくま文庫から出てるから早速注文した。この映画の原作らしい。ちなみにこの辺のソープの送迎ワゴンのナンバーは2626、風呂風呂ということだと思う。

自分が生まれる前の地元の風景を見たくて見てみたけど、映画本編もかなり面白い!初・瀬川昌治。編集がかなり良い。ソープ嬢の寮の各部屋を繋ぐカッティングがサスペンスフル。ハッとするタイミングで繋ぐセンスが随所にある。同じく雄琴を舞台にした『幻の湖』もそうだが、白昼堂々の琵琶湖大橋(近江大橋かも)で殺人が行われる。この類似性は何だろう。こんなにだだっ広い場所で修羅場になることは普通ないように思うが、雄琴で映画を作る人々は、ここで血を流させたいと思う何かがあるのかもしれない。確かに琵琶湖にかかる橋の上での殺人が魅力的な光景であることは間違いない。トルコ行進曲のレコードをプレゼントされたソープ嬢(当時の呼称はトルコ嬢)が喜んで「わー嬉しいわ!私たちのことが曲になってるのね!」と言うシーンにクスっとした。