くじら

ビバリウムのくじらのレビュー・感想・評価

ビバリウム(2019年製作の映画)
3.3
「おもしろ〜い」と「納得できねえ😂」の狭間にいる。

托卵ホラー × コピペされる現代消費社会ホラー。

まず微妙だった点。
いくらなんでも托卵の必然性がなさすぎる。
いや分かってる、理不尽な恐怖なのはわかってる。でも理不尽は何かにとって益であって欲しいんよ…。

映画のイントロでカッコウの托卵が入っているので比較しますが、カッコウを押し付けられた鳥と比べて、本編の人間たちの仕事があまりになさすぎる。ご飯も巣もカッコウとは違い「あちら」側が用意している。コミュニケーションを学ぶ必要があるのならもっと現代人間の文化を家に残しておくべきだろう。

とはいえ一定以上の面白さが担保されているので意外と見れてしまう。

托卵ホラーといえば『ローズマリーの赤ちゃん』を思い出すが、アレは「結局赤子に特別な感情を抱いてしまう母親の愛ホラー」「望まない出産・孤独の妊娠生活ホラー」だったのが苦手だった。

今作は子供が、母の愛を超えてあまりに分からない「他人」として現れる。この恐怖の方が好み。

ただこの映画、1番怖いのは不動産。普段はほとんど映画を見ながら自己投影しないんだけど、これはしちゃう。「不動産屋さんの優しい笑顔って怖いよね」の語り始めが、圧倒的に地に足がついており、その後いくらファンタジーな世界が広がっても「そんなもんか」と思わされる。
くじら

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