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ビバリウムのFHTのレビュー・感想・評価

ビバリウム(2019年製作の映画)
3.5
ビバリウム(陸生・水生問わず、生物本来の生息環境を再現した飼育・展示用の容器)

静かに不気味。

答えが見当たらない世界で怯え、逃げ道を探していく内に壊れていく感情や芽生えてく感情の対比。

夫婦生活を目的とした家探しをしていた最中、何かの異変を感じ後を去ろうとするが、同じ家、同じ道、同じ雲が並ぶ街々。

何度帰ろうと試みてもたどり着いてしまうある家。

家の前に食料が置かれている。
監視している内は何故かその姿を見る事が出来ない。

そしてある日、食料とは別に赤子が置かれていた。

男性、女性の中の感情変化がこの赤子の出現で大きく変化していく。

これは性別的な脳の仕組みの違いによって起こり得る可能性なんだが、やはり女性は母性本能からその赤子を育てるという意思が強く、たとえ憎たらしく皮肉で理不尽な他人だとしてもほっとくことは出来ない脳が働く。
一方、男性はその赤子によって壊れていく夫婦生活に困惑し、その赤子を排除しようとする。

その両者の行き違い、成長する謎の子供。

男性、女性の2人は分断、子供はどちらにつくか。

そして、なんとも言えない無機質で残酷なラスト。

感情という信号を与えられていない世界はこんなに無機質で無益な世界なんだと思い知らされる。

時にイラつき、悲しみ時に幸せで、楽しい。
波のある脳への刺激物を与える感情というものはとても世界を華やかにするものだと感じた。
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