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宇宙でいちばんあかるい屋根のFHTのレビュー・感想・評価

3.7
関係者試写にて

魅せ方が日本映画、ではなくアジア映画として観せている所が監督としての意思表示として捉えられた作品。

冒頭、キャスト紹介がローマ字表記だったり、日本という狭い空間を感じさせないドローンによる空撮がワールドワイドな絵となり存在感を示していた。 チャプターのように入る水墨画の挿絵も上品な日本らしさが出ていてセンスを感じた。

世界標準として作られたと思わせた関連で言うならば大胆なドローン撮影、カメラのフィルターだとか、世界共通の乗り物キックボードや、フォルクスワーゲンなどアイテムとして使用されてたり、音楽をやっている男の子の楽器がギターではなくバンジョーな所とか。

そして日本ならではの混み合った世界は本作になく、必要最低限の人物だけで描かれていた為、ファンタジーなのにストレートに突き刺さってくる。
韓国映画だとそこに時代情勢というものが入ってきていきなり重くなったりするものの、日本映画なので終始透き通った青々しい時間が流れていく。

家の周りの雰囲気も少し独特というか高級住宅街感があったな。神戸ナンバーだったから兵庫のどこかなのかな?兵庫ならではの上り坂も山もあったし。

描かれた世界線は2005年。
2005年って最近なようで結構前なんだなー。
ガラケー時代だし、掲示板とか流行ってた時代なつかしい。ファッションもあんな感じだったなーとか思いつつ。


この作品を観て気付かされるもの

人の成長は他人に感化されて育つもの

心の内を開けるのは近い存在の人より遠い存在の人


キャストに関して

桃井かおりは流石ですね。陽気なキャラを演じてるのだが、時より魅せる優しい言葉をかけるシーンでの声のボリュームが絶妙!

清原果那の表情がとてもアジアンビューティーな感じで今作に合っていた。18歳で幼さが残るものの大人の演技をしっかりしていました。ラストシーンの表情がとても刺さりました。

音楽に関して

アコースティックアンビエントな感じがとてもハマっていた。宮内悠里とかworld end girlfriendとかを匂わせるサウンドメイクに心が踊った。
無駄に派手な音楽を流すのではなく、環境音のように自然とフェードインしてくる感じか世界観を壊さず、より世界観を広げていった。


時間の使い方が自然とだんだん上手くなる主人公がもたらす未来がとても美しかった。
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