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佐々木、イン、マイマインのrhumのレビュー・感想・評価

佐々木、イン、マイマイン(2020年製作の映画)
4.3
劇中、戯曲『ロング・グッドバイ』を引いて語られる通り、悲しいかな人生は様々な"さよなら"の連続体であるわけだが(※)、そんな"さよなら"に纏わるとても誠実な物語だったなと感じた。「互いの人生が交差した地点で起きたあれやこれやの出来事を、感謝とともに愛おしい記憶として脳に刻みこむ事」こそが、出会った人や、その人と共に過ごした日々に対して"さよなら"を言うための大切な手続きなのである!と主人公らが悟ったかのような終盤での怒濤のエモみが大変。

※ ちょっと調べてみると『ロング・グッドバイ』 は1940年発表。日本だと"さよならだけが人生だ"のフレーズで有名な訳詩「勧酒」を収録した井伏鱒二『厄除け詩集』がその3年前の1937年に出版されている。"人生とは常に別離でこそ規定されるものである"と説くかのようなこの2つがほぼ同時期の作品なのはなんとも興味深い。
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