碧

グッバイ、レーニン!の碧のレビュー・感想・評価

グッバイ、レーニン!(2003年製作の映画)
5.0
これは傑作だと思う。何というか、構成が上手い。

あらすじにコメディとあるけど、コメディと聞いてイメージしたものではなかった。
滑稽さはあるけど、明るく楽しいものではない。どちらかというとシュールかな?

東西ドイツの統一が、東ドイツのごく普通の若者の目を通して描かれる。
ベルリンの壁崩壊を知らず意識不明だった主人公の母親。たった8ヶ月意識不明になっただけで、世界がこんなに変わるものなんですね。

国の話でもあり、家族の話でもある。
人を取り巻く、小さな共同体(家族)と、その外にある大きな共同体(国)。

同じドイツなのに敵同士だとか、統一は東の人間にとってはある種敗北だったのであろうところとか、状況が本当に複雑。


『僕たちは希望という名の列車に乗った』の校長先生(フロリアン・ルーカス)が、主人公の同僚役で良い味を出してた。
この俳優さん、『ヒトラーを欺いた黄色い星』にも出てたんですね。不屈のユダヤ人活動家の人かな。
東ドイツ出身なんですね。

そして主人公のお父さんが、何と、『僕たちは〜』の教育大臣(ブルクハルト・クラウスナー)じゃないですか。
知ってる俳優さんが出てくると楽しい(笑)



【ネタバレ】


ラストは社会主義の理想と現実が切なすぎて泣いてしまった。
碧