『逃げた女』という邦題のセンスの良さを感じつつ、実際主人公が何かから逃げているのか、あなたの想像にお任せします。
…という理解で良いのだろうか。
まあまあ楽しめた。
5年間旦那と片時も離れたことがないという主人公。旦那の短期出張中に結婚後初めて外泊を計画。仲良しの女の先輩宅2件、むかし男を巡りいざこざがあったと思しき女友達の職場。
全く意味のわからない脱力系会話劇の巨匠ホン・サンスだが、本作は彼のテイストが「フランス映画的」と言われる所以が少しわかる気もする。少しだけね。
主人公の心にはきっと、今をぶち壊したい密やかな衝動があるのでしょうな。「幸せ」と「退屈」は紙一重。ひょっとして彼女の夫婦関係は既に破綻してるのかも知れないし…そう考えるとちょっと角田光代の小説のような繊細ささえ感じ取る。