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ローマ11時のkayupanのレビュー・感想・評価

ローマ11時(1952年製作の映画)
4.0
不況下のローマの一会社で、タイプライターの就職面接が行われる。そこに押しかけた大勢の求職中の女性を巻き込んだ事故が起こる。国中に報道されたこの悲劇の責任の所在を求め、捜査が始まる。事故で一命を取り留めた被害者は、無論入院費も払えない貧窮者だ。原因は状況的なもので、事件の責任を被り補償を行えるような者は1人もいない。しかし不況下においては、損害を受ければ誰かに責任を押し付け、賠償を得たい者ばかりだ。不条理と個別の人生が描かれ、わかりやすい形の悪人はおらず、その意味では誰もが被害者であり、この責任はいわば不況そのものにある。
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