松井の天井直撃ホームラン

なぜ君は総理大臣になれないのかの松井の天井直撃ホームランのレビュー・感想・評価

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☆☆☆☆

突如飛び出た上半期ベスト1

観客34〜35名前後 簡単に。

本人曰く

「花も咲かなきゃ、蕾も出ない」

「前原さんほど右じゃないけど、枝野さんほど左じゃない」

いや〜!何だコレ〜!滅茶滅茶面白いんですけど〜。

このドキュメンタリーが面白いのは。17年もの歳月をかけて、1人の衆院議員の生き様を。映画全編で、混迷する政局情勢の中で踠き苦しむ姿を余す事なく記録している点。
特に映画後半では紆余曲折あり、小池新党フィーバー最中。希望の党から出馬した選挙戦をじっくりと記録しているところ。

前半の助演男優賞 田崎スシロー。

安倍政権打倒!を掲げる、野党第1党の民進党議員でありながら。あの田崎スシローとは大の仲良し…ってところでも、見所満載なのだけれど。本人が語る安倍政権の功罪をしっかりと把握している点。そこにプラスして、あのスシローが。

「森友問題なんか、安倍政権にとっては単なるかすり傷ですよ!」

…と、カメラを前にして言い切っているところ。

それを撮っているスタッフも凄いが、撮らせるスシローも凄い!…って言うよりも、スシローは何処まで行っでも、スシローなのであった。

後半の助演女優賞は2人の娘さん。

前原誠司の側近だった為に、追随し小池新党へ。
しかし、学校の2年先輩には前原と袂を分かっ玉木雄一郎。

その上、あの小池百合子の放った一言で。有利に働く筈だった選挙戦は、一気に奈落の底へ、、、
元々、地方で自民党と戦うには困難の連続を伴う。

「自民党にしか入れた事がない。自民党以外は政党として認めない」

そんな土地柄なのだから。

しかも地元では絶対的に強い相手候補のマスメディア戦略。
もう笑っちゃいけないんだろうけど《前門の虎、後門の狼》状態。

遂に本人の口からは…

「もう打倒!小池ですよ!」(笑)

頭下げて、また頭下げて、またまた頭下げて…の連続!

♬小池にハマってさ〜大変! 玉木が出て来て「安くは売らぬ!」後輩、一緒に党抜けよう!♬

いや〜地獄だわ(´-`)

そんな中で映る2人の娘さんの笑顔と泣き顔はちょっとおじさんグッと来ましたね〜(u_u)

色々と見所ばかりなんですが、此方の記憶の海馬には許容範囲が少なくて(p_-)
家族の本音の話だったり。出馬式での感動的な応援演説の詳しい中身だったりが、既に忘却の彼方へと(泣)

…って言っておきながら、一言だけ文句を言ってしまうと。
流石に17年もカメラを回して行くと、対象者とは仲良くなってしまっている辺りか。
実際「無所属ならカッコ良かったのに」と伝え。
「無所属かあ〜!」と悩み…と言った辺り。
しかも最終的には(´-ω-`)

本来、ドキュメンタリーならば。「こうした方が…」と言った助言等は《誘発》に繋がりかねないのですけどねえ。
返す返すもこの対象者が、奥崎謙三の様な怪物ではなかった事は。作品として世に出す事に於いて幸いだったのではなかろうか?
少なからずも本人には。奥崎や、中央政界で蠢く騙し・騙されな駆け引きが出来ない。多くの魑魅魍魎の議員達と違い。良識ある人間だったからこそ、この作品の方向性と合致して、作品として成立したのかもしれない。
だからこそ、仲良し?のスシローであり、地元民との対話であり(しかもマスコミ抜き)何よりも本人の本音を引きだす事に成功したのだろう。
最後の着地点の一言こそは、お互いの信頼関係があってこそ引き出せた言葉だったと言える。

ズバリ、傑作だと思います!

2020年6月29日 ヒューマントラストシネマ有楽町/シアター1