えみ

なぜ君は総理大臣になれないのかのえみのレビュー・感想・評価

3.9
選挙の裏側を、政治に興味のないツレにも知ってもらえる映画で、よくできたドキュメンタリーだと思った。
小川さんのことは正直よく知らないけど、誠実で真っ直ぐで、人を助けよう、国を良くしようとして政治家になるという使命感を持った熱い人で、応援したいと思える人だった。

なぜ君(小川さん)は総理大臣になれないのか?
その答えは観客各々がいろんな考えを持つだろう。そう、この映画はひとつの視点を押し付けるような構成ではない。淡々と事実を伝えるのがメイン。だから政治に無関心で政治家の主張にちゃんと目を向け、積極的に政治に関わっていこうとしない市民が、今のどこ見てるかわかんないようなお友達政治を創り出してしまっているという問題意識を持つことも出来ないかもしれない。
でも私は彼が総理大臣になれない理由は、もちろん腹黒い議員がのさばれる状況を創ってる有権者の側にあるのは前提として、有権者のほとんどは、そこまで考えられないというのもまた事実であって、そういう多数の人々に響く訴え方はなんなのかっていう、ある程度の汚れ仕事を引き受ける覚悟みたいなのが彼にはないのかもしれないと思った。私はそんな不誠実なことをしないと上に行けないような政治じゃダメだと思ってるけど、今の日本では正攻法で誠実にやってても負け戦でしかないのも受け入れなければならない事実でもある。小川さんみたいな人はもっと貪欲になっていい。彼みたいな人が力を持たないといけない。そういう土俵を作っていかないといけないんだよな。どうすれば良いのか、彼が20年以上苦悩してきたのに比べれば浅い悩みだが、考えさせられる。
国を良くしようと、人々を救おうと奔走している父親が、市民に選ばれずに頭を下げる姿を間近で見る子供たちの気持ちを思うと泣けてきた。小川さんは悪くない。受け容れる器がこの国にない、ぐらついてばかりなのがおかしい、土井先生のスピーチには泣かされた。
正直私は希望の党に流れた民進党議員は当時もう絶対に許さないと思っていたし、信念の無いクソ議員だとすら考えていて、小川さんを批判していた市民と同じ考えだった。今でも無党派で頑張ればよかったのでは?とは思ってしまうけど、どこかに所属しないと圧倒的に不利な選挙戦になってしまうという今のシステムの問題点も露見したように思える。小川さんみたいに当時苦悩していた議員もいたことを知れたのは良かった。
彼の仲間をもっと日本の政界に増やしていきたい。それは一市民としての私にもできることだと思う。
えみ

えみ