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海辺の家族たちのRIOのレビュー・感想・評価

海辺の家族たち(2017年製作の映画)
3.8
自分を作った土地の匂い
潮の香りような柔らかい優しさ
安心して1人になれる 自然と目の前に広がる空間と結ばれてゆく
永遠性を望み 変わらないことを何処かで願う

最小限の動きと空気感で教えてくれる
心の機微が潮騒と一緒に聞こえてくる

フランスの海浜に住むこと
幼い頃見ていた海辺の景色は変わらない
波や空の色の移り変わりは時間を刻み 目を凝らせば自分自身を作ったものに普遍性を見出だせる
それを全身で表していた手を繋いで旅立ったマルタン夫婦が素晴らしく美しい

「New cinema paradise」J .トルナトーレの中でアルフレードが島を出ていくトトに
直ぐに帰って来てはいけない 帰るべき時に戻っておいでと言った言葉が甦った

帰るべき時とは
変わってないと思う故郷の風景は変わり続ける世界の中で失われない何かを感じさせる力

煩わしさから逃れたら何かしら変わったかというとそうでもなかったように思えるけど 久し振りに会う兄弟たちと父親に確実に刻まれた表情の皺から見える流転する中に宿る美しさが意味するもの

島を出て戻ってきた彼らに運んできたものは尊いものだったに違いない

移民でフランスに流れついた子供たち
自分たちしか頼れない兄弟の結んだ小さな手を離さないようにする大人の兄弟の知恵がぐぐっときた
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