本多猪四郎監督の第一回監督作品ということで見た。小さな島での濃密な人間関係や昔からの因習や言い伝えが濃霧のように纏わりつく。昭和20年代半ばの地方の様子がよくわかる。一人の男をめぐる二人の女の話。一人はずっと島で暮らし純情ゆえに恋の情念がだんだん激しく渦巻いていく。もう一人は都会帰りのアバズレでちょっとちょっかいを出すつもりが次第に本気になっていく。「生き残った者は死んだ人の分まで幸せになればいい」なんて簡単にはいかない。「ゴジラ」の恵美子のように。結局芹沢博士の縛りで尾形とは結婚しないで生涯独身を貫くものな。この映画の島の人々の暮らしを見ていると、ゴジラに襲われる前の大戸島はきっとこんなだったんだろうなと思えてきた。ジイサマもいるし、監督もロケ地も同じだもの。