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『In My Room（原題）』に投稿された感想・評価

KnightsofOdessaの感想・評価

2020/04/21 22:35

2.0

[世界が終わっても、人は変わらない]　40点

カメラマンのアルミンは仕事も私生活も全く上手くいっていない。そして恐らく上手くいかせるつもりもない。世界の最前線をカメラごしに見つめる彼は、自らの人生すら観察者になっていたのだろうか。大好きだった祖母を亡くしたアルミンは余計に無気力になり、泣きながら流れ着いた河原で一夜を明かす。目を覚ますと、世界から人間が消えていた。ベルリン・スクール出身の監督として、2017年のヴァレスカ・グリーゼバッハ『ウェスタン』に続いてカンヌ映画祭"ある視点"部門に選ばれたウルリヒ・ケーラーの最新作は、ポストアポカリプスSFものの外枠を借りて、世界が激変しても変われない人間に焦点を当てている。

とはいえ、A.T.ホワイト『Starfish』とは異なり、ジャンルにはしっかり従って世紀末世界でのサバイバルが描かれるのも興味深い。だらしなく腹の出たやる気のないおっさんだったアルミンが、いきなりマッチョになって畑を耕しているのだ。自動車ではなく馬に乗るのはガソリンを集めるのが面倒だからだが、野獣以外に弾丸を消費しないので銃は普通に使っているという細やかさ。すると、そこにもう一人の生き残りである女性が現れる。世界が終わった後、二人はアダムとイヴとして創世記が始まるのか…なんてことはない。それは『ゾンビランド』の観過ぎである。

人間が居た頃、アルミンの部屋は彼だけの神聖な場所であり、クラブで会った女性をお持ち帰りしても決して心を許さなかった。人類が滅びた後もそれは変わらず、自分の世界に従順なものを並べて内的世界に閉じこもり続ける。やって来た女性キルシの無表情で力強い狩猟民族のような生き方とは対称的で、典型的なジェンダーロールを交換しただけにも見えなくはない。それが何を示すにせよ、アルミンは世界崩壊前後で、生き残るための積極性だけ勝ち得ても、根幹は全く変わることがなかったのだ。まぁよく考えてみればそれが当たり前なのだが、改めて言われてみると納得してしまう。ということで、自分の"世界"に侵入してきたキルシを歓迎するが、心の底では従順なオブジェクトの一つと見做しているのは伝わってくる。

ただ、寓話にせよポストアポカリプスSFにせよ、挿話があまりにも断片的でフワフワしている。特に興味も湧かないので首を捻るだけ捻って終わりにしとこう。実は昨年の新作ベスト関連でA.T.ホワイト『Starfish』を観た翌日に冒頭だけ観ていたのだが、昨年末の過激な追い込み時にも引っかからなかったということを白状しておこう。

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みむさんの感想・評価

2023/04/05 20:52

3.0

説明省いて、世界に１人取り残された男の姿を観察するような映画。

IN MY ROOMというタイトルからは想像しなかった内容の映画。「アイ・アム・レジェンド」っぽいか？ディストピア映画か？黙示録映画か？といろいろ考えたがどれも少し違う。
IN MY ROOMの「部屋」とはもしかしてこの世界のことなのか？

おそらく40代ぐらいの男性アルミンは仕事にやりがいを見いだせず、父との関係は微妙、祖母は瀕死の状態。明るい楽しいことがなさそうな上に、彼の周囲が不可解な状況になっていた。

車やバイクは無造作に乗り捨てられ、船は川を流れ、動物たちは放置され、建物は無傷でもぬけの殻…！？

何が起こってるのか謎だらけ。

だけど謎解き映画でもなく、アルミンの変化をひたすら見る映画。

生きた屍のように生気がなかった彼が、この異常事態でまさかのサバイバルスキル発揮、自由で生き生きしてる様子、皮肉にも時代と技術進歩と完全に逆行することで生き甲斐見つけた？みたいな感じ。

ずっと１人じゃどうするの？と思いきや登場人物が増える。

見てる側は「なぜ？」の連続だが、観察映画だと思うと面白い。

※セクシーな男性の一例にここでもライアン・ゴズリングの名前が出てた

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