東雲

君は永遠にそいつらより若いの東雲のレビュー・感想・評価

4.4
散りばめられた哀しみ。
相手の気持ちをわかってあげられない哀しみ。相手の哀しみに気付けない哀しみ。互いに愛し合っているのにそういうことができない哀しみ。愛が与えられない哀しみ。自分がいなくても世界が回る哀しみ...
私たちが人間である以上、こういった"哀しみ"というのはほぼ避けようがなく、その度に絶望し、そしていつかはその悩みもまるでなかったかのように綺麗に忘れてしまう。なんとも都合の良い生き物。
私はホリガイのように初めから負けを認めて生きているということはないけれど、基本的に他人を諦めて生きている。期待していないと言えばいいか。期待していなければ裏切られることもないし、怒りも湧いてこない、傷つかない。けれど、深い人間関係の構築には破壊と創造が付き物である故にそういった破壊を避ける行為は本当に薄っぺらい紙切れのような交友関係しか得られない。それをわかっていてもなお他人に対して期待しないのは結局のところ傷付きたくない、自分勝手であるという自分自身の根本的な部分が拭い去れないから。
最近観るこういう類の映画に一体何を求めているのか、この作品でようやくわかった気がしている。
東雲

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