緑

アウステルリッツの緑のネタバレレビュー・内容・結末

アウステルリッツ(2016年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

これも寝る覚悟で挑戦したところ、
3部作の中でもっとも眠くならなかった。
たぶん「今」だからだろう。

観光客たちは総じてラフな恰好。
夏のせいもあり肌の露出も多い。
Tシャツかノースリーブ+ショートパンツかジーンズが大半。
スカート姿の人はほとんどいなかった。
「F××k」なんちゃら書かれたTシャツは如何なものか。
ここまでではなくとも主張が強いTシャツが何枚も登場。
もし自分がこういう場に行くとしたら
無地の服で行こうと固く決意した。
いろんな人たちの姿形を見て、
日本人は体型にも身なりにも
気を遣いすぎていると思った。

紐がないでんでん太鼓を持っている人が
心底不思議で仕方なかったのだったけれど、
やがて音声ガイドだとわかった。
モノクロでなければすぐわかったのだろうか。

施設の中で外でカメラでスマホで写真撮影する人たち。
施設を撮るのはわかる。
自分や同行者を入れて撮るのは全然わからない。
嫌悪感を覚えた。

序盤から中盤までの観光客は遊び気分の人が多い。
誰かと通話している人とか、
頭にペットボトル載せてる人とか。
終盤、ガス室や焼却炉に辿り着くと
神妙な面持ちの人たちが増えてくる。
ただ、通話している人やペットボトルの人が
神妙になって映っている訳ではなく、
据えられたカメラの前にたまたま来た観光客たちが
そのような面持ちだった。
観光客ひとりひとりを撮っているのではなく
ひとかたまりとして捉えた作りで、
深部に近づくほど人の気持ちが変化したように見える編集。

ダークツーリズムという言葉を知ったきっかけは、
東日本大震災後に東浩紀らが提唱した
福島第一原発観光地化計画。
叩かれて思考実験とか言い出した辺りまでは覚えているが、
最終的にどういう話になったのか
知らないまま今に至っている。
ひとつの案としてはありだと思うけどな。
緑