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アウステルリッツのnobueのネタバレレビュー・内容・結末

アウステルリッツ(2016年製作の映画)
2.8

このレビューはネタバレを含みます

観光客が多少の不届き者であることは、例えば人間が「本を読む」という時に、途中でお茶を飲んだり人と話したり外を眺めたり諸々の雑事を挟み込みながらも「何やってた?」と聞かれて「本を読んでいた」と答えることを思えば仕方のないことで、そんなことよりもあの場所へ足を運び考えることにはよほど価値があるわけで、それを動画に撮って観客に見せるという行為の方が二重三重に犠牲者に対する冒涜であるということはまず最初に言っておかないと話ができないというところを脇に置くとして


◎ガイドにドイツ語話者がいなかった。
◎女の子が1人でじっと何かを見ていた場面は、人間は1人になれば真面目に向き合うものなんだと見せているようだった。
◎結局ザクセンハウゼンのガイド映画としてよくできてる感じもした。
◎観光とはどういうものかということがよく映っていた。
◎ゼーバルトの小説とは、雰囲気以外に共通点はなかった。

追記 20201207
時間が経って変わってしまったものの元の姿を想起しながらそこに加えられた暴力の歴史をも想起する、というのが『アウステルリッツ』で建築史家アウステルリッツがやっていたことで、今回の映画の監督は観客の全員を〈アウステルリッツ〉にしようとしていたのかもしれないと今朝になって思いました
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