りょう

水を抱く女のりょうのレビュー・感想・評価

水を抱く女(2020年製作の映画)
3.4
 この監督の過去作である「未来を乗り換えた男」は、少し期待値を上げて観てしまったので、あまり印象に残らないままになっていました。
 この作品は、そのことすら忘れて、何の予備知識もなく観ました。男女関係に傷ついた女性が潜水士の男性と出会うという場面で、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の「渦」を連想しました。ウンディーネの神話は知りませんでしたが(邦題も「ウンディーネ」でよかったのでは?)、どこか寓話的でシュールな演出だったので、物語がどこに向かうのかわからなくとも、あまりイライラせずに、単純に登場人物の描写と映像に惹かれた稀有な作品です。とりわけ、映像の中心であった水中のシーンとベルリンの街並みは、ヨーロッパの作品ならではという印象です。
 全般的に音楽が少なめでしたが、ピアノの旋律がとてもよかったです。クラシック音楽の知識が皆無なので、すぐに作曲家とサントラを探してしまいましたが、バッハの有名な楽曲なんですね。あまり専門的な考察はできませんが、いい映画体験ができました。
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