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セイント・フランシスのyksijokiのレビュー・感想・評価

セイント・フランシス(2019年製作の映画)
4.2
□3行サマリ
34歳未婚で大学中退、給仕係のブリジットが夏休みの間のベビーシッターとして6歳の女の子のフランシスと交流し、心の交流を深めていくお話

□感想
細かいエピソードの積み重ねの構成になっていて、本当にひと夏のフランシスの成長を一緒に横で見ていた感覚になった。同時にブリジットに関するエピソードも周りとの比較、自分の人生をどうすべきかという悩みが一貫してあって、非常に刺さるものがあった。

ブリジットとフランシスの関係性も今までのこういう系の映画と少し違う、子供子供してるけど根っこはちゃんと大人な6歳と、無理してない素のベビーシッターというテイストで、呆れつつ、怒られつつもめげずに逃げずに立ち向かっているブリジットの素直さが非常に際立っていて良かった。

自分が産まれないことと産まれてこの人生を歩むことだったらどっちを選ぶか、とか本当は泣く我が子を壁に打ちつけてしまいたくてそれを想像していたとか一瞬出てくる母親のキラーフレーズがとんでもなかった。

私はあなたを誇りに思う、I'm proud of you.このフレーズを言い合える関係性、本当に素敵な家族だなと思うし、素直にこういうことが言える、相手を尊重し合えるということの大事さを実感した。

男の登場人物を減らしつつ、ちょいちょいクソな一面を見せることで際立って女性として生きてきていることに対する男のバカさを痛感する。給仕係のあの男の子はいい人ではあったと思うけど。。

あとは余韻カットがめちゃくちゃ刺さった。車がガソリンスタンドから発車した後のガソリンスタンドの給油スタンドをそのままのカットをキープして見せたり、人が通り過ぎた後の道路をそのまま2〜3秒カットとして見せたり。風景の余韻を残すカットがめちゃ良かった。やりすぎるとウザくなる中で絶妙に余韻があるといいシーンでの使い方がよかった。

この映画の中で時折用いられる「カッコいい」「Cool」というワードも非常に有効的に使われていたと思う。勇敢で、恐怖に対して逃げない。異なる主張を尊重する。そういうカッコ良さの表現が非常に良かった。

クスッと笑えるギャグややりとりもありつつ、終盤はちょっとウルっとも来て、押し付けがましくもなく、ドラマティックに描きすぎもしない。爽やかに終わっていくところも好きな後味感で、また定期的に見たいなと思わされた。

にんじんのとこ最高。

キャスト★4.3
ストーリー★4.0
プロット★4.3
バイブス★3.9
演出★4.1
音楽★3.8
映像★4.2
全体★4.2
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