Miri

セイント・フランシスのMiriのレビュー・感想・評価

セイント・フランシス(2019年製作の映画)
4.0
ブリジットとフランシスの34歳と6歳のシスターフッド見せつけられた!
有名な監督・俳優、著名なスタジオが関与してないと全然話題にならないと思いきや、観た人たちが「この作品すごい」といういうだけあって、個人的に観て良かったと思えた作品の一つ。
作りとしては粗さはあるのだが、題材が生理、育児、また中絶と女性としては日常として降り掛かってくるテーマを軽妙に重すぎずメッセージ性を持って訴えてくるのがとても観ていて心地が良かった。
主人公の女性・ブリジット、30代半ばの女性で夏にナニーの短期バイトをする中で、フランシスと彼女の家族とか変わっていく中でどんよりしていた生活に光が差していく様子がとてもキラキラして見えた。ブリジットが30代なかばで「自分は人生で何も成し遂げられていない」と思う姿に共感できるし、この社会自体に、一生懸命生きることになんだか諦めみたいなものを感じてしまうのだが、この映画はその日常の中のキラッと光るものを大切にしたいなと感じさせてくれた。
生理、育児、中絶を扱っているということもあり、女性たちのリアルをすごくリアルに描いている(育児の産後うつや中絶による罪悪感、生理による生活の影響)を徹底的に描いているんだけど、重すぎず軽すぎずあくまで女性の日常として描いているのが新鮮でびっくりした。本来は特別なものではまったくないはずなのに映画やドラマでは未だに大事として描かれているなと感じた。
またブリジットの周囲のみんなが社会で活躍しキャリアアップしていく様子や結婚・妊娠の様子をSNSで判明し、焦ってしまい自分は子どものベビーシッターのバイトして何しているんだという様子もなんかじわじわ画面から伝わってきて、私も26歳の今第一結婚ラッシュ、みんなのキャリアアップを聞く様子とだいぶ被ってきてズキーンと心に刺さった。
レズビアンカップルを描写することにより、男女ではない、より複雑な社会的構造によるコンフリクトも描かれていて、多重層にわたった多様な女性像を100分で描いた。
女性の日常。これが女性の物語。
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