しん

グリード ファストファッション帝国の真実のしんのレビュー・感想・評価

3.6
「ridiculous party」という単語の意味を噛み締めながら見ると、かなり面白い作品でした。グリーディ(主人公)やその周囲の億万長者たちの私生活は、もはや憧れすらしないridiculous(バカげた)なものです。ある部分の字幕で、このridiculousが訳されず、単に「パーティー」とだけ表示されていたのは少し残念でしたが、まさにridiculousであることが重要なのです。徹頭徹尾。

そしてそのridiculous partyを支えているのが、詐欺的な取引と途上国の超低賃金かつ長時間労働です。グリーディが割ったグラス以下の時給で働かされる彼女たちの状況、パーティーでいつ使うのか分からない皿を盗んで非難される難民たち、もはや何をしているのかわからないグリーディたち。不謹慎を承知で言うならば、この構図がridiculousなのです。

資本主義の根元的な矛盾は、このridiculousというワードに集約されるのかもしれません。そんなことを面白おかしく描いた本作は、良作と言えるのではないでしょうか。
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