アキラナウェイ

まともじゃないのは君も一緒のアキラナウェイのレビュー・感想・評価

3.6
朝ドラ「なつぞら」で拝見してから、清原果耶の演技力は認めている。広瀬すず演じる主人公が戦時中に生き別れた妹を、当時17歳とは思えない程大人びた演技で強烈な存在感を放っていた。

そんな彼女と成田凌のW主演による、「普通」じゃないラブストーリー。

外見は良いが、数学一筋でコミュ力ゼロの予備校講師・大野(成田凌)は、普通の恋愛を夢見るが、普通が何だかわからない。そんな大野に恋愛指南の依頼を受けた、知識ばかりで、実は恋愛経験ゼロの女子高生・香住(清原果耶)。

香住は、憧れの存在である宮本(小泉孝太郎)の婚約者・美奈子に大野をアプローチさせ、宮本と美奈子を破局させようとするが—— 。

当初は全く噛み合わない主演2人の掛け合いが自然で、台詞の聞き取り易さも明瞭で心地良い。大野の前では恋愛の達人の如く教鞭を執りながらも、ある日大野への恋心に気付き戸惑う香住も、「普通」がわからなくて困惑する大野の残念さも、どちらも面白い。

純粋な大野を利用し、人の恋路を邪魔しようなんざ、何とも末恐ろしい女子高生でちょっと引いてしまう。

とは言え、若さ故の真っ直ぐさを感じさせるし、トラップに引っかかる宮本を演じる小泉孝太郎が超絶薄っぺらい口だけ野郎だったので、妙に胸スカ。

結局大野も香住も、人を好きになる事がわからない。

劇中語られた真理。

"今まで一緒にいたのに、立ち位置が変わって人を好きになる"というのは、確かにあるなぁ。

ラストシーンは、
森の音に包まれて。

ほっこり終わる、余韻も良き哉。