manami

まともじゃないのは君も一緒のmanamiのレビュー・感想・評価

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なんなんすか、この可愛らしい二人は。走り始めた時からゴールが見えている障害物競走ではあるんだけど、でも進路を遮るのが通常のハードルとかネットとか跳び箱とかでなく、いきなり始まる数学の小テストやファッションチェックやテーブルマナー講座だったりするような。なんともちぐはぐなレース展開に、ずっとニマニマが止まらないのよ。
教え子の女子高生・秋本に、「普通」を教えてほしいと頼む予備校講師の大野。今どき携帯持ってない奴なんていないっていう独特のツボで気持ち悪い笑い方するところから、さっそく最高だな。
相手の言葉をまんまリピートしちゃって「うるさいなぁ」って何度も叱られる。相手が何を考えているか察することができず「どんな感情?」と直接訊いてしまう。
スーパーの2階でセールになってた上着に何のひけ目も感じてないのとか、その場では笑っちゃうけど、よく考えたら凄い人なんじゃないかって気までしてくる。
いい雰囲気で夜道を歩きながら話してた、大野の趣味について。虫の声を聴きに森へ行く。森の中は調和がとれている、森全体が一つの生き物で、自分もその中の一部になったような気になれる。そこに数学との共通点を見出せるという。
いろいろなサイクルが完成されていてもうそれ以上大きく変化しない森を「極相林」と呼ぶのです。何もないところから極相に達するまでには何百年もかかるのです。
つまり基本的に生命には変化がつきもの。人の気持ちだって、人と人との関係性だってね。そして人間は数百年も生きることなんてできないんだから、安定した極相に辿り着くことは不可能なんだわ。
スナックでクダを巻く彼女も、数学以外ほんっとに何一つ知らない彼も、日々変わっていく。周囲からやっかまれるカースト上位カップルも、話してみれば「普通」に良い子たち。昨日の「普通」と明日の「普通」は同じじゃないかも。
予備校でちっとも勉強しなかったりとか不自然な点は数々あれど、それでも最初から最後まで説得力を持たせる、清原果耶と成田凌の演技力に圧倒される。

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