JunichiOoya

マイ・ニューヨーク・ダイアリーのJunichiOoyaのレビュー・感想・評価

5.0
若い頃は宇宙を股にかけて異星人と喧嘩してたのに、歳取ったらパーソナルコンピュータアパシーに陥ってしまうお茶目な文系バリバリ人間に…。
自戒の念も込めながら、私も謙虚な老境を過ごしたいものです。
ま、閑話休題。

レビューを上げておられる皆さんも仰るようにこの邦題はねえ…。興行のことを考えてというのもあるのでしょうが、それが奏功したともいえないような。

冒頭の戯言に話を戻すと、彼女、パートナーとの向き合い方については歳取ってもまるでコンサバじゃなくて、矜持さえ感じますよね。個人的には伊藤野枝をちょっと思い出したり。
あとパートナーの自死というのも踏まえて『ペンタゴンペーバーズ』のM・ストリープと較べながら見ました。どっちもニューヨークやし、仲間達のクレバーさも心地よく。
なので余計にニューヨークポスト「社主」の、あの城のような邸宅が嫌でした。ああ、新聞事業者ってやっぱり「資本家」なのね、と。
シガニー・ウィーバー達には少し清貧さが感じられて。メディアとして新聞が支持を失っていったのはだから至極当然だし、いやいや出版も風前の灯なのか…。
これまた閑話休題。

とにかく好きな映画でした。終始野暮ったさの極みを演じる主人公も素敵で。
憧れますなあ、全く読んだことのない作家と(仕事上とはいえ)まずは電話を通じて知り合って、親しく会話を交わしながら著作に触れていくのって。最後には、お約束のご対面シーンまで!

ちょっと思い出そうとしたけど、私にはそんな作家はいないなあ。映像作家で、ということなら個人的な会話をという方何人かいらっしゃるのですが。それでも一本も見ないで友だちに、という方はいないし。
羨ましい出逢いですよね。

米国の、ニューヨークの「知」「良心」に触れた至福の100分でした。
JunichiOoya

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