しちれゆ

ペルシャン・レッスン 戦場の教室のしちれゆのレビュー・感想・評価

4.2
起承転結がしっかりあって引き込まれ最初から最後までずっと面白かった。
わたし的には、ペルシャ人のふりをして生き延びたユダヤ人ジルよりナチス収容所のコッホ大尉の物語に惹かれる。彼は大尉といっても厨房担当らしい。ナチスに入ったのも街でナチス兵士を見て楽しそうだったから、という理由なのでエリートではなく、彼の口からは母の記憶もなく湯を売って暮らしたという悲しい少年時代が語られる。ジルに対する激昂と暴力や、一転して最後には彼を信頼し護ろうとする善良さも描かれ、また所長に関する下ネタで笑う無邪気さも楽しく、この人もまた戦争に運命を狂わされたのだなぁ、と思う。
そして空港で自信たっぷりにペルシャ語を口にする大尉の場面は衝撃だった。まぁジルに沢山の言葉を教えてもらったとしても動詞はどうしたんだろ?という疑問はありますよね(…の以前にそもそもデタラメなんスけど)
コッホ大尉がジルに言った「良き人生を」という言葉が心に残る。そしてジルの姑息さも。
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