ハレルヤ

ペルシャン・レッスン 戦場の教室のハレルヤのレビュー・感想・評価

3.9
第二次世界大戦の最中、ナチスに捕まったユダヤ人の青年ジルは処刑される寸前に、自分はペルシャ人だと偽り命拾いする。収容所へ移されたジルは、ペルシャ語を覚えようとしているコッホ大尉に偽りのペルシャ語を教えて難を逃れようとする戦争ドラマ。

2年前に公開されてかなりの高評価を得ている本作。一応フィクションらしいですが、本当にあった事のようなリアリティが感じられた作風でした。

冒頭で車から降ろされて並ばされ、あっさり撃ち殺されていくユダヤ人の人々の姿にいきなり心を持っていかれましたし、基本的には主人公ジルの目線で描かれる本作での出来事。死と隣り合わせの状況だらけで緊張感が凄い。

その緊張感を更に煽り立てるのが、知らないペルシャ語を教えないといけないジルの立場。あまりに適当に教えては自分でも分からなくなり、窮地に陥る事態になる。そこでジルが考えたのは収容所にいる人々の名前から取ること。

名簿を見ることが出来たから、何とかレッスンを継続出来たし、その事がラストシーンへと繋がるのも心に響くものがありました。

そのレッスンを通じてジルとコッホ大尉の間にも奇妙な友情が生まれてくるのも本作のポイント。立場があまりに違うだけに最後まで完全に友人という形にはなれませんでしたがでしたが、時代が違えばより深い絆になっていたでしょう。

そして自分はペルシャ語を教える立場という事もあり、何とか生き長らえているジルも、周囲の人々が次々と命を奪われていく状況に心を失いそうになる。ホロコーストの悲惨さを改めて実感しますし、ジルの気持ちも痛いほど伝わってきます。

そこまで目立った場面はありませんが、心に様々な感情を訴えかけてくる良作。戦争の悲惨さを感じる場面はありますが、残酷な場面は無いので、是非多くの方に見てほしいと思います。
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